商品について
AKGの高音質を継承しながらも、コンパクト化を実現したモデルが登場。
AKGの高音質はそのままに、スカンジナビアンデザインのニュアンスに機能美を融合させた、まったく新しいミニヘッドホンYシリーズ。シリーズ最小、最軽量を実現した「Y40」は、通勤、通学などにも適したハイパフォーマンス・オンイヤーヘッドホンです。
新しい製品をチェックする際に必ず使用している、ペンギン・カフェの『ザ・レッド・ブック』(44.1kHz/24bit)を聴いてみたい。プレーヤーはAstell&KernのAK120IIを使用する。
Y40は彼らの音楽の揺らぎやうねりを滑らかに表現してくれた。解像度が特段高いわけではないが、バンドサウンドを耳に心地よく届けてくれる。ハウジングはコンパクトだが、イヤパッドに高さがあるためだろうか、耳の周囲にゆったりとした音場が現れる。ピアノやバイオリンの高域が耳の奥に不自然に飛び込んでこない。音が荒れないと言っても良いだろう。品のある音だ。
次にプリンス『アート・オフィシャル・エイジ』(44.1kHz/24bit)から「WHAT IT FEELS LIKE」を聴く。Y40は楽曲を優しくあたたかなトーンで表現する。自然な立体感もある。随所に入るギターの短いフレーズやシンセベースも他のパートと程よく調和して、過剰に演出されない。この曲でプリンスとデュエットするのは、カメルーン出身のシンガー・ソングライター、アンディ・アロー。コクがあるのに清々しい彼女の声を堪能した。プリンスの少し抑制した歌い方のニュアンスも十分に伝わってくる。ペンギン・カフェを聴いた際には、正直、このプリンスのようなサウンドは苦手かもしれないと予想した。しかし、楽曲を華美に演出せず、クリーミーにまとめている。この柔和さこそ、本機の真骨頂だろう。
優しい音調に加え、フィット感も高く、さらに軽量だから長時間のリスニングでも疲れない。音漏れも少なく、コンパクトだから屋外での使用も、もちろん可能だ。音量を下げてもバランスの良さが失われることはない。さらに、ブルーやイエローのモデルは、ファッションの指し色としても使えそうだ。
文:中林直樹
※AV/オーディオ/ガジェット情報サイト「PHILE WEB」所収記事を短くまとめたものです。