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あの夏に、手をのばせ
投稿日:2020/08/11 22:03:43
私は、自分で言うのもなんなのだが、過分に懐古主義のきらいがある。
この作品について、語れることは多い。例えば類似点を指摘されるAIRとの比較など、それだけで文字の洪水を起こせるだろう。が、しかし、ただ一人の人間として私が伝えたいこと。それは鴎(パッケージ一番左の黒髪の乙女)ルートの、過ぎ去った夏を噛みしめるような、郷愁的な夏の情緒だ。
この鴎嬢、聞けば幼き日に偶然知り合った仲間と共にひと夏の冒険をし、見事宝を見つけたそうだ。そして年月が流れたる後に再開を約束したそうな。かくして時は流れ鴎嬢も美しい乙女となり、過日の約束を果たさんがために、島で出会った主人公の鷹原何某と共に再びの、そして陽炎が如き儚いひと夏の冒険をする。という内容なのだ。
私のセンチメンタルな文章で通じなければ、洋画の『グーニーズ』などを思い浮かべてもらいたい。あの物語が終わり、十年後にでも主人公がかつての道を歩む、そんな風情なのだ。
過ぎ去った夏、その黄金の時間をなぞるように、時に郷愁に震え、時に情緒の波に飲まれ、時にミステリアスながら少し抜けた鴎嬢に口角を上げ。二人の冒険は始まる。旅の主役の鴎嬢は冒険の終着駅で過日の夏に手が届くのか。鴎嬢の伴にして見届け役の鷹原何某はその果てに何を願うのか。
二人の紡ぐ、夏の冒険記は否応にも、私自身の夏を思い起こさせる。遠き夏、遥かな夏の冒険記。私は懐古主義を称するが故に、二人の夏の冒険活劇に心の琴線がエリック・クラプトンのギター並みに響いたのだが、貴方は二人の夏に一体どんな情景を思い浮かべるだろうか。あの夏に、手をのばせ。
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